12. vs スラム零番街

page:01.02.03.04.05.06.07.08.09.. 「バカ」

と、ジャスタスが言ったのは、それから数時間後、南米スラバヤの上だった。

「…バカ」

「うるっせー二度言うなや!
 あのときはナイスアイデアだと思ったんだよ!」

盗んだ家の前で、
チューヅ達は確かに、家ごとまるっと盗んだ、はずだった。
しかし、よく考えてみれば、壁にワイヤーを刺したって
中の部品入り段ボールや、まして地下研究室までごっそりついてくるわけではない。
結局、彼らは 「家だけ」 まるっと盗んでしまった結果になる。

「かえしてきなよ」

「いや、こんなの返したところでどうにもならんだろう。
 …正直、どうやって返すんだ、こんなの…」

迷惑をかけたばっかりで
リスクに見合う収穫はまるでなし。
手で足でじたばた地面を打つチューヅの隣
同伴の二匹もがっくり肩を落とす。

「だァア!いいの!
 俺ァ、丁度こういう家が欲しかったところなんだよ!
 あーうれしいうれしい!作戦通りだぜ!」

100歩譲ってそうだとしたって、手に入ったのは半壊したコンクリートの家屋。
チューヅの万歳が少ししょっぱかったのは、此処だけの話だ。