04. vs 毒飴

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「ぴくりともしねーよ…死んでんじゃねーの?」

今、島で一番高い位置はジャックジョーカーの頭の上である。
クロはその上で寝そべって、凶厄に話しかけた。
前脚は先日リヴリーから奪った知恵の輪をひっきりなしにいじくっており、
後ろでは足がトンカラトンカラと金属質なリズムを刻んでいる。
それに凶厄は欠伸を噛み殺してから、気のない返事を返した。

「かもな。仕切り直しだゴキ、場所移るぞ。」

暴れ足りないと言わんばかりに肩をボキボキ鳴らす音が
どんな言葉よりも正確に彼のやる気を代弁している。
クロは時間を確かめるように手首を見、
自分は腕時計なんか一個も持っていなかったことを思い出し、
大きな声で「つきあってやるよ」と答えるなり、
飛び込むように頭っから凶厄の所に降りていった…いや、落ちたのだ。
ロボの体がずしりと動き、頭と頭をごっつんこした凶厄が怒号を上げる間もおかず、

「お?」「あ?」

何やら光の筋が迸った。
ビームを吐きながらぐるんぐるんと回転しだしたのだ。










「すごい技だな。」
「あーあー、撃つ前には必ずロックオンしろよってあれほど…」

などとのどかな会話を続けているのは、チームスラバヤの面々である。
アイランドの広告が映るはずのテレビは、
取り付けたアンテナモニターにはパイロット目線の戦況…
…もとい、空色と土色と偶に二本の黒の入り混じったしま模様が映し出されていた。まるでミルクを入れたてのコーヒーみたいだ。

「リラちゃんだいじょぶー?おうとうしてくださぁい」

どう見ても大丈夫ではないコックピットからは、あたりまえだが何の応答も無い。
この状況で 喋れたらすごい。

「ビームのストップボタン解ルー?ライトのセカンドよー」
「おせないとおもうな。」

いささか諦めがちに、えんまが言った。