06. vs チュータツ

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「ねーってば。おしえてくれたっていいじゃない」

「いいから来い。」

そんな口げんかをしながら、チュータツはえんまと歩いていた。
ヒーナの砂漠から、はるばるスラバヤ近辺まで。
そのどえらく長い距離を、ご苦労様なことに徒歩で歩いてきたのだ。
べらぼうな体力があるわけでもない彼は既に息切れさえしていたが、
えんまの目の前で「よし、休憩しようか」等と言うことは、
彼のプライドが許さなかった。
水を飲むときの他は、ずっとえんまの手首を鷲掴みにして
引っ張っていく。
眉間には不機嫌さを顕わに皺を寄せ、
溜息は何度ついたことか分からない。
えんまもえんまで無抵抗のまま連行されつつ
「なんでチュータツさんはおこっているんだろう…」と、
思い切り聞こえる独り言を呟いたりしている。

そんな彼等も、そろそろ目的地に着こうとしていた。
それを、ノーノー言いながら走ってくるドルテが迎える。
というか追い出そうとする。

「Nowアタシタチ秘密工作中ダヨ。
 真ニ 恐レイリマスガKeep out pleas…」

チュータツは彼女を奇異な目で見つめ、素通りする。
かっとなって掴みかかろうとするドルテだが、
「ごめんね」とえんまに押し返されてしまう。
踏ん張ったドルテの両足が土に溝を作りながら、
ずりずりと引きずられるようにしてバックしていった。

三人がやってきたのは島の中心部。
そこでは二人の男衆が機械の部品のようなものを
ちまちま組み立てていた。
と、チューヅ客人の存在に気付き、ぱっと立ち上がる。

「あーっ!畜生ドルテ!部外者は入れんなつっただろが!」

「アタシ悪くないモン、cautionしたのにコイツらにムシされたダヨ!」

「…秘密ならアジトを出せば良いではないですか」

ドルテとチューヅは一瞬固まった後、
「お前頭良いな」「クレバーだね」などと、
口々に彼を賞賛しだした。
なんという現金さ。
こんな奴等が、とチュータツは頭痛さえ覚える。

「で?何の用なんだね」

だるそうに言ったのは、そんな二人を苦笑しながら
見ていたジャスタスだ。
この男なら話が通じそうだと踏んだチュータツは、
馬鹿二名から一歩遠ざかって切り出した。

「あー…と。噂だとかこの木偶の話だとか色々ありまして、真偽を見極めに。」

チュータツが軽く小突くと、えんまはへらりと笑っている。
花の開くようなその笑顔で、スラバヤの全員が
彼が何かまずいことを言ったのだと知った。

「世界征服を企んでいる…というのは、正気ですか。」