02. vs シルヴァーローズ
まぁ努力のかいあって、アティスもえんまもこうして元気に生還してくるわけですが。
「というわけだったのですよ。
貧血で眠っているだけですから、そのうち目を覚ますでしょう」
肩からたすき掛けに包帯を巻いたアティスが南米スラバヤを訪れたのは、その日の夕方でした。
彼は呆然とする五人の目の前で、おぶっていたえんま(血まみれ)を下ろし、地面に寝かせて言います。
「本題については、我々は返事ができかねますな。
出資は出来ませんが、利害が一致すれば手助けも考える。
その都度声を掛けてください。もちろん我々も、貴方達を利用することも、有りうるかもしれない」
「お互い様ってことかよ」
「いいえ、今回は貴方たちに一つ貸し、ということで」
良いですね?威圧感のある物言いに、頭たちはあわてて頷きました。
「久しぶりに、面白い戦いが出来ました。
またお手合わせ願いたいものですと、彼に伝えておいてください」
アティスはからからと気持ちよく笑い、片手を挙げて去っていきました。
天性のボスの目の前で、チームスラバヤの面々は、なんだか自分達まで
彼の子分になったような心持。
重傷一名。
時間、人件費を考えれば赤字、さらに収益なし。
いきなり大損のしっぱなしで、残ったものは
「命が助かって、本当によかったな」というチューヅの呟きだけでした。
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