page:
01.
02.
03.
04.
ドルテが腕を振り下ろした途端、
「待てぇい!」
という声と共に一陣の風が巻き起こった。
ドルテが振り向く間もなく、彼女の顔面を竜巻が直撃した。
「黒ちゃん!よかった、」
「ベンチにも部屋にもあなたはいなかったから、もしかしてと思って。
かすかな匂いを頼りに探したんです…コイツの!」
ドルテの身体がふっとばされ、、植え木の枝をてっぺんからへし折りながら落ちていった。
キャシィはびっくりして黒鋼刃を見上げて、
彼女の獲物を睨む表情がギュニア杯とはまるで違った野性味のある殺気に溢れているのに二度驚く。
いまの彼女は完全にハンターの顔つきをしていて、ああ、それで準チャンプの実力を培ったんだと知る。
飛びかかってきたドルテをレールガンが防ぎ、残響がびぃんと響く。
黒鋼刃はすぐさま敵を払い、仰向けにした無防備な腹部に狙いをつけた。
「オマエ邪魔!喰ラウ!」
ドルテは足と中の腕とをクロスして全力で銃口を蹴り退けて、
こんどは余りの腕で銃の尻を手繰り寄せると、黒鋼刃の肩にかぶりつこうと大口を開けた。
黒鋼刃は横に飛んでまずしがみつく腕を外し、/stormで完全に離脱する。
至近距離での大風が、確実に腕をちぎり取ったのを確認し
冷静に/slingを口に命中させて再びキャシィの元に戻ってきた。
「コイツの狙いは。」
「アタシ達のトロフィーよん!」
やっぱり。つぶやく黒鋼刃には抜け目がない。
小さく/heatを込めた指で蜘蛛糸を焼き切り、キャシィを自由にした。
ものすごい怪力を持っていても
賞金のかかるような試合向きの戦闘に特化したキャシィよりも
モンスターとの戦闘においては黒鋼刃は腕が立つ。
「キャシィさん、先に帰って下さい。私がここは食い止めます!」
彼女の強さは身を持って知っている。キャシィは頷き、駆けだした。
「黒ちゃんのオムライス、楽しみにしてるからね!」言い残すと、黒鋼刃は小さく頷き
キャシィを追おうとするドルテの直線的な動きを、真正面から受け止めた。
「ムキィーッ!ハナセッ!オマエ殺スでアイツ殺ス!」
「させません。これで最後です。」
振り回されるクローの嵐には頬を切らせたが、
替わりに自分の身体とサンドイッチにするように背中に改めて銃口を突き付け直す。
手首の一本を素早く押さえ、尾骨に打ち込もうとエネルギーを込めはじめると、熱さに悲鳴が上がった。
「ソンナのドルテチャンに食らわないモン!
パキケの奴、それ食らてもおゲンキだった!だからドルテチャンも平気!!」
「…そうでしょうか」
冷たい刃物の響きで黒鋼刃が囁いた。
キャシィに手を出した罰は十分に与えるつもりでチャージを増やし
出力は最大まで上がった。
/sling
青の光が炸裂する。