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「きゃぁっ」
キャシイが連れて来られたのは、ティータイム公園の入口の茂みを
しばらく離れたサーバーの縁だった。
どこだって人影の多いGLL内で、ここだけは信じられないくらいに誰もいない。
キャシイの体は捕まった姿勢のまま、頑丈な糸でぐるぐる巻きにされて
自由に動くことも敵わない。
「アンタ誰!?アタシをどうするつもりよ!」
「オマエチガウ」
女性は事務的に訂正すると、フードを脱ぎ、続いてローブも脱ぎ捨てた。
露になったのは鉛色の肌、そして八つの眼、六本の腕。他には何も纏っていなかった。
ジョロウグモの少女の指が一本、す、とトロフィーに差し向けられる。
「ソイツ渡セ」
「いやよ。」
だってこれは黒ちゃんのだもの。不自由な胸にトロフィーと盾をぎゅっと抱き締める。
景品ごと縛ってくれたのは幸いだった。もっともドルテには誤算だったようだが。
ジョロウグモは歯ぎしりをして、もう一度言い聞かせるように繰り返した。
「Teusもエンマもダリンも負けのダゾ。
ダカラ、ドルテチャンが戴く。ショーリのアカシ!ヨコセ!」
「チューヅ…って、もしかしてあの最初に黒ちゃんに瞬殺されたあの子ね?」
キャシイの予想は、どうやら的中したようだった。
「ムカアアアア!Teusのバカ!アイツ恥さらしナア!
anyway、強いのドルテチャンがリベンジすゆ。Let's カクゴ!」
だがそれも、悪い方向にだ。
ドルテのあるかなしかの堪忍袋の尾は、いとも簡単にぷっつんし
彼女が肩の上から生える両腕を振ると、そこからそれぞれ2本ずつ
ポップアップ式の鋭利なクローが飛び出した。
どうやら彼女は『ゆずってくれ たのむ!!』より『殺してでも うばいとる』のほうが性にあっているらしく
特にリヴリーを手にかけることには何のためらいも無いようだった。
殺気を感じたキャシィはハイヒールで土を蹴ろうとし、同時に糸を破る方法も試みるが、
身体に巻きつく蜘蛛の糸は粘着質を帯びていて、土がこびりつく以外に目立った効果がない。
普通のリヴリーならば、/thunderのひとつでも唱えることができる。
しかし、キャシィは魔法が使えないのだ。
「死ネ!!」