ギュニア杯:招待状

page: 01.02.03.
「チューヅちゃん。」

はっとしてチューヅが振り向くと
ネタツザルの女性がずずんとそびえ立って、
彼を見下ろしていた。
彼女はぐいと体を折り曲げ、
角度のせいもあってか気持ち悪いほどグラマラスな肉体が
ますます強調されて見える。
一瞬誰だろうと思ったが、縫い目だらけの顔は見覚えがあって、
そういえば最近、気まぐれにネオベルミンに
漬かった知り合いがいたのを思い出す。

「樹樹、かよ…」

「なーにを探してるのかな?」

何、と言われても、怪物危険対策パークですることといえば
普通、情報収集くらいなものだ。
怪物の森に入れるようなハンターならともかく、
ローズウッドや名有りモンスターなんかを相手にしたら
あっという間に死んでしまうようなチューヅなどが
一人でモンスターを倒そうとすると
こういうところで地道に探すしかない。

「別に…面白ぇことを探してただけだよ。」

ふてくされてチューヅがそっぽを向くと、
樹樹はくすくすと笑ってデコピンをひとつ。

「GLL入ればいいじゃなぁ〜いv」

「い゛でっ!そんな金ねぇから世界征服やってんだろが!」

「うっそー!?まだそんなことやってたのー!?」

おでこへの衝撃で足元がよろけ、
それはもう冗談のような勢いで数歩ふらついては倒れる。
倒れた拍子に手元から葉っぱを綴ったメモ帳、今までここで集めてきた
なけなしの情報を書き込んだメモがばらりと風に舞った。
ジョロウグモ、スズメバチ、カマキリ、スズメバチ、スズメバチ…
どうせ彼は、必死になったって名無しモンスターしか
倒せないようなハンターだ。
あまりにも自分が情けなくなって
チューヅは俯いたまま、手の中に土を握る。

「確かに俺は馬鹿なことしてんのかもしんねー…けど、俺、馬鹿だしよ。
 GLLなんて夢の夢の夢みてーなこと叶えるにはそんぐらいしねーと…」

樹樹は腰に手を当てて、落ち込むチューヅの様子を見ていた。
笑顔のまま変わらない鉄の表情をにこにこと強張らせたまま
何か思案していたようすだったが、

「チューヅちゃんが馬鹿なのは…うん。前からそうだと思ってたわ!
 人生楽しいほうが良いに決まってるんだから。」

そこで、と前置いて、懐から5枚のチケットを取り出すと
ひらりとチューヅの顔の前で振って見せた。

「GLLに無料で入れる方法、お姉さんが教えてあげましょーか?」

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リヴリーアイランド・ギュニア杯
  予選試合優待券

※このチケットをお持ちの方には
 ・予選試合参加権
 ・ホテルワイズウッド宿泊券(予選期間中)
  が無条件に与えられます。
 必要書類と共に必ず受付に提出して下さい。

有効期限/2008年6月26日 24:59

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